もう自分のことなんて、忘れてしまったのでしょう。
最初の想いも、最後の想いも、忘れたのでしょう。
今でも思い出す、あの頃の思い出。
不器用だったけれど、真剣だった。
それは届かなかったけれど。
最初の日から、最後の日まで、心が通じなくなっていった。
歩み寄ろうとしても、直違。
修復できなくなって、意味がわからなくて、今でもわかっていない。
この声は届かない。
叫び続けることに意味はない。
それでも、フラッシュバックしてありありと思い出す。
幸せはそこにあった。
そして、不幸もそこに潜んでいた。
心はどこかですれ違ったまま。
悪くないと言われたって、信用できない。
悪かったなら形を変えられるだけの器量はあるのに。
もっと歩み寄ってほしかった。
大事にされたかった。
未来を一緒にいきたかった。
もう戻らない。
必ず良いことがある。
何も悪くない。
自分は何も悪くない。
一生懸命に生きていただけ。
愛していただけ。
愛してくれなくなったものに、もう何の価値もない。
愛してくれたことが唯一の価値。
もうこちらを向いてくれないなら、追い掛けるだけ無駄。
愛してくれた事実はあるのに、それももう忘れてしまったのでしょう。
愛してあげた事実はあるのに、それももう忘れてしまったのでしょう。
笑いあえたことも、泣き顔も、抱きしめ合ったことも、忘れてしまったのでしょう。
自分はまだ忘れられなくて、苦しんでいるよ。
全て忘れられれば良いのに。
幸せで輝いていた日々のことも、忘れたい。
忘れたいのに。
いつまでも過去に囚われていてはいけない。
全部忘れてしまいたい。
経験とか思い出とか、要らない。
箱に詰め込んで、鍵をかけて、深海に沈める。
どうしてこうなったのか、わからない。
わかりようもない。
傷付いて、立ち直れていない。
忘れてしまったのでしょう。
自分のことなんてもう忘れてしまったのでしょう。
あの頃の記憶を消してしまいたいのに。
もう戻らない。
それなら、記憶も消してほしい。
全てを捧げた。
返してもらえないものも全て。
全力で生きた。
涙は枯れ果てた。
ここでまだ立ち止まっている。
少しは前に進んだけれど、進みつ戻りつ。
愛した事実は消えない。
消えてくれない。
でも、忘れてしまったのでしょう。
自分も同じように忘れてしまえれば良いのに。
こんなにつらい思いで生きるなら、いっそ全部忘れたい。
愛は消えるのかな。
真実の愛でも消えるのかな。
真実の愛ではなかったのかな。
片一方の愛だったのかな。
そんなこと、思っているなんて、知らないでしょう。
自分のことなんて、忘れてしまったのでしょう。
この声は届かない。
それでも、叫び続ける。
忘れられるようになるまで。
新しい自分に生まれ変われるまで。
記憶がなくなりますように。